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林業とは?

 林業は山の恵みをいただく仕事です。私たちは主にスギ・ヒノキ林で植栽から伐採までのお世話をします。近年では里山林の整備も行っています。伐採した木材は山から街場へ出してきます。良い木材を供給できるよう工夫をし、環境保全にも気を配りながら、山の力が最大限に発揮されるよう働いています。

1.人工林の育成

 スギ・ヒノキは他の樹種に比べると、一本の木が成長するのに必要な面積が少なく、真っ直ぐ高く成長する傾向があります。これは造林樹種・建築用材として優れた性質です。

アンカー 1

 木の成長段階ごとの作業

林業は、季節に合わせて、木の成長に合わせて仕事を行ってきました。そのサイクルを紹介します。

① 地ごしらえ

伐採の後に散らばった枝葉を筋状に集めて、苗を植える空間を確保します。このときできるだけ丁寧に集めておくと、苗を植えるときや下刈りをするときの作業が楽になります。

1年目 

② 植栽

1年目

苗木屋さんから買った2~3年生の苗を、唐鍬で穴を掘って植え付けていきます。根が真っ直ぐ伸びていけるよう気を付けて植えます。次の日くらいに雨が降ると根が付きやすく安心です。地域にもよりますが、永源寺地域では2000~3000本/haくらいの密度です。最近では鹿が増えて苗木を食べてしまうので、植栽地を囲う獣害防止ネットを張り巡らせます。

③ 雪起こし

2年目~5年目くらい

雪の降る地域では冬場に苗が雪に押されて曲がってしまうことがあるので、真っ直ぐ上に成長するように紐で引っ張り起こしてあげます。引っ張るのは案外力のいる作業です。このときに針金を使うと、将来針金を巻き込んだ木材になって敬遠されるので注意が必要です。

④ 下刈り

2年目~10年目くらい

夏場に繁茂する雑草が苗を覆うと、苗木は光を得ることができず、草の中で蒸れて枯れてしまいます。そうならないよう、苗木の周りの草を刈っていきます。草と間違えて苗木を刈ってしまわないよう細心の注意を払います。炎天下のもとでの下刈りは林業の作業で一番の重労働だと言う人が多くいます。

⑤ 除伐

15~20年目くらい

まだ林冠が閉じておらず、マツなど成長の早い雑木が植栽木を被圧して大きくなり成長を妨げるので、刈り払い機で伐採していきます。時には人が歩けないくらい茂ることもあります。除伐に合わせて一回目の枝打ち(2m)や一回目の間伐(1割くらい)を行うこともあります。

⑥ 枝打ち

伸長成長に合わせて2~3回

木材を収穫する長さに合わせて、4m、6m、8mなど、少しずつ上がりながら枝を落としていきます。ビール瓶くらいの太さの時が最も適した時期だと言われています。枝を打つと将来的に節がなく、元口末口で太さの変わらない上質の木材が収穫できるようになります。

⑦ 間伐

25~30年目くらいから

林冠が閉じる度に繰り返していく

間伐する目安は林冠が閉じるころです。残して大きく育てる木を決め、傷や大きな曲りのある木、隣どうしが近い木から優先的に間引いて収穫していきます。木は成長を続けるので、最後の主伐を行うまで間伐を何度でも繰り返していきます。間伐の売上は山主の中間収入になります。

⑧ 主伐

これまで育ててきた人工林の木を全て切って収穫します。時期は木材の質や山主の考えによって、50年だったり100年や200年だったり、もっと長かったりと異なってきます。その後に再び苗を植えることもあれば、天然更新にまかせることもあります。主伐後の土地の利用については、様々な議論がなされています。

2.広葉樹材の使用

 スギ・ヒノキ以外の針葉樹や広葉樹にも木材としての価値が高いものがあります。それぞれの樹種の特徴を活かして家具や木工に使われたり、キノコや炭の原木になったりします。

ヤマザクラのスプーン

​ホオノキのまな板

コナラとスギの椅子

飛騨産業(株)

ケヤキのお盆

コナラを原木とした

シイタケの生産

カナメモチで作った斧の柄

カシで焼いた炭

3.山の木が私たちの生活につながるまでの流れ

 山に立っている木が、木材として街場へ出て、製品になり、私たちの生活で使われるようになるまでの流れをご紹介します。林業と生活とのつながりを感じてもらえたらいいなと思います。

4.自然環境保全

 山は木材を生産する以外にも多くの恵みを私たちへもたらしてくれています。人工林は人が手を加えた自然です。山本来の力を発揮してもらうためには、適切なタイミングで適切な管理を続けていかなければなりません。林業が適切に行われることは自然環境保全につながります。

生物多様性を保全する

土砂災害を防ぐ、土壌を保全する

温暖化を緩和する

気候を緩和する、大気を浄化する

山には木材を育てる以外にも

様々な役割があります

洪水を緩和する、水質を浄化する

環境学習の場所になる、景観を維持する

木材、食料、肥料などの生産

療養、行楽などの健康維持の場所になる

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